中小企業や個人事業主が身を守るには

ITビジネスで、自社独自のビジネスで成立すれば何の問題もないのですが、やむを得ず受託業務、いわゆる下請けをこなすケースも出てきます。あるいは、受託専門のビジネスモデルもありますので、発注元から突然言われたり、対応を迫られて困る事例をまず知ることで、自社や自分に問題が起こった場合のリスクを下げられるように準備しておきましょう。

業務委託契約には2種類ある!

自社の仕事を第3者に依頼する発注者からみれば「業務委託契約」、受託者からみれば「受託契約」には大きく2種類あります。

まず1つ目は「請負契約」。ITビジネスでいえば、ホームページを作成・納品する、マーケティングデータを入稿するなど仕事を完成させ目的物を納品する形態の契約のことをいいます。

2つ目は、「準委任契約」。たとえばサイトの管理運営を行う、サーバー管理を実施するなど細心の注意を払って日々の業務を行わなければなりませんが仕事の完成を目的にする契約ではありません。

法律的には意味合いが大きく違ってきますので、まず2種類あることを知り、自社や自分の契約がどちらに当てはまるか確認しましょう。

請負と準委任契約の大きな違いは?

ITビジネスでは、いずれもあり得る両契約ですが大きな違いは契約の解除と報酬を得る時期です。

「請負契約」では、契約途中では受託者から契約解除することはできず、報酬も仕事の完成後に得ることとなります。一方「準委任契約」では、契約期間中、委託者・受託者双方からいずれも契約解除ができるうえに、契約途中でも報酬を得ることができます。業務の内容から考えますと、上記の違いはすんなりと理解できますね。

問題発生!さあ、どうする!?

ある日、あなたは突然呼び出されこう言われました。
今回受託契約したA社担当者「来月からB社の顧客サポートもやっていただきたい。業務内容は一緒だし、売っている商品も実はA社商品だから問題はないでしょう」

あなたは家に帰ってよく調べてみるとB社はA社と資本関係は全くなく、系列でもない完全な別会社、しかもネット上の評判が芳しくないので受けるべきか悩んでいます。この場合、あなたはこの仕事を受託する義務があるのでしょうか?

このケースでは、もちろんあなたがこの仕事を受託すると判断した場合は何の問題もありません。
しかしあなたの契約が、「請負契約」もしくは請負的要素が強い場合は再委託ができうる方向性、「準委任契約」もしくは準委任的要素が強い場合は再委託ができない方向性が強くなるなど契約形態によって変わってきます。もし、あなたが準委任契約を交わしている場合、法的にはB社業務を断ることができる可能性が高いとも判断できます。

現実には受託者は弱い立場

しかし法的に正しくても、発注者には強い立場に出られない現実があります。また間に業者が入り、発言すらできないこともあり、苦しい立場に置かれて悩む会社、個人が多いと思います。
正論を言うことが、多勢に無勢で総スカンを食らうこともあり得ますし、契約の継続が難しいケース、さらには今後の発注がないケースもあるでしょう。

まずは法的な知識を身につけて時には法律の専門家と相談して、自社や自分が正しいポジションに立っているかを確認しましょう。
次は、自社や自分のポリシーや生き方まで踏まえ、最後は勇気を振り絞って自分が考える正しいと思う道を進んでいけば、今回の契約ではうまくいかなかったとしても将来、道が開ける可能性もあります。

また発注側の大企業の担当者も必ずしも意図して無理を要求するケースばかりではないと思います。双方が法的な理解をし、最終的には委託者・受託者ともに信頼関係を保ち、ビジネスを継続発展できる関係性を構築することは、少子化で日本の経済力が落ちる現状を踏まえると長期的には望ましいのではないでしょうか。